コンタクトレンズは、視力を矯正するための 高度管理医療機器です。
コンタクトレンズの基礎知識
コンタクトレンズの名前の由来
コンタクトレンズは、英語の『contact』(接触する)から付けられた名前です。角膜(黒目)に直接接触させて使うために「コンタクトレンズ」という名前になりました。
コンタクトレンズの素材と形状
ハードコンタクトレンズは透明なプラスチックでできており、ソフトコンタクトレンズは、水を含むと柔らかくなるプラスチックで出来ています。近年では、酸素透過性にすぐれたシリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズも登場しています。角膜(黒目)にうまく沿うように小さなおわんのような形をしています。大きさは、ハードで約9ミリ、ソフトでは14ミリ前後です。
コンタクトレンズの構造
コンタクトレンズってよく見るととても複雑な構造をしているのです。あの小さなものの中に視力を矯正する部分と、目の中で安定し、ゴロゴロしないようにする部分があります。
角膜に涙と酸素が必要なわけ
角膜は、呼吸しています。透明で血管のない角膜は、新陳代謝に必要な酸素を直接大気中から取り入れているのです。
コンタクトレンズの種類
ハードコンタクトレンズ
耐久性にも優れ、酸素透過性タイプなら安全性も抜群。
硬いプラスチックでできたコンタクトレンズです。現在では、酸素透過性ハードコンタクトレンズが主流です。大きさは約9ミリ。角膜(黒目)よりも少し小さくて、まばたきのたびに角膜の上を上下に動きます。 コンタクトレンズの中でも、一番酸素を補給できるコンタクトレンズがハードコンタクトレンズです。また、乱視矯正にも優れています。
ハードコンタクトレンズの装着状態
初めてはめた時にはゴロゴロ感がありますが、だいたい1週間で慣れて、後は快適に装用を続けることができます。
ハードコンタクトレンズの特徴
- 酸素透過性が高く、長時間の装用が可能
- 視界がクリアでシャープ
- 乱視矯正にも優れています
- 長い目で見ると、経済的
みみより情報
- 酸素透過性はソフトコンタクトレンズの3~5倍
- 若年者では、ハードコンタクトレンズは、ソフトコンタクトレンズやメガネに比べても近視が進みにくいという研究結果があります。
ソフトコンタクトレンズ
異物感が少なく、激しいスポーツでも安心。
水を含むと柔らかくなるプラスチックできたコンタクトレンズです。近年では、酸素透過性にすぐれたシリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズも登場しています。含まれる水の割合(含水率といいます)は素材によって異なります。大きさは約13~14.5ミリ。角膜(黒目)よりも大きく結膜(白目)の部分まで覆います。一番の特徴は柔らかいために装用感の良いことです。
ソフトコンタクトレンズの装着状態
レンズは角膜をすっぽり覆うほどの大きさ。ゴミやホコリが入りにくく、初めてでも異物感をほとんど感じません。
使い捨てコンタクトレンズとは?
一般的に定期的に新しいレンズに交換するソフトコンタクトレンズのことを言います。もう少し詳しく分類すると、1~3ヶ月のサイクルで交換する「定期交換型」、2週間サイクルの「頻回交換型」さらに毎日捨てる「ワンデータイプ」などがあります。
ソフトコンタクトレンズの特徴
- レンズが柔らかく異物感が少ない
- 激しいスポーツでも安心
- ワンデータイプ以外は、毎日の消毒が必要
みみより情報
- 最近では乱視用や遠近両用の使い捨てソフトコンタクトレンズもあります。
カラーコンタクトレンズの安全性
平成24年5月22日、国民生活センターから、カラ―コンタクトレンズの安全性についての発表がありました!
カラコンの使用で目に障害も
カラコンは、通常の透明なコンタクトレンズと同様に、高度管理医療機器といって、生命や健康に重大な影響を与えるおそれがあるため、適正な管理が必要なものとされています。以前は視力補正を目的としない度なしのおしゃれ用のカラコンは、高度管理医療機器としての承認が不要でした。しかし、おしゃれ用カラコンの使用による目の不調や事故が増えたため、レンズの安全性が問題視され、2009年11月から、度なしのおしゃれ用カラコンも高度管理医療機器としての承認が必要となりました。承認を受けたカラコンは、2009年には10品目以下でしたが、2013年には承認を受けたカラコンは300品目程度にまで増加しています。
一方、PIO-NETに寄せられるカラコンの相談件数は増加の一途で、この10年間(2004年4月1日~2014年3月31日)で737件寄せられているそうです。また、2012年に日本コンタクトレンズ学会が行ったカラコンによる眼障害調査では、7月~9月の3ヵ月間に、カラコンによる眼障害が多数報告されています。
そこで、日本コンタクトレンズ学会、公益社団法人日本眼科医会との共同研究で、カラコンの安全性や使用実態について調べ、消費者に情報提供をすることとしたそうです。
PIO-NETに寄せられた737件の相談件数について分析結果
カラコンの販売購入形態は、通信販売が81.4%(600件)と最も多く、店舗販売(15.7%)の約5倍です。カラコン使用者の中心年齢は10歳代、20歳代で、79.8%を占めますが、実際に相談に来るのは40歳代の29.8%が最も多くなっています。また使用者の92%は女性です。
10代のお子様を持つ40代の親御さんからのカラコンに関する相談が増えています!
福岡県・10歳代のお子さんを持つ親御さんからの相談(1)
高校生の娘が通信販売で勝手にカラコンを購入した。使用したところ目が充血した。目に障害が出るのではないか不安である。娘に使用をやめるように説得しているが、友達も使用しているからと言ってやめようとしない。
大阪府・10歳代のお子さんを持つ親御さんからの相談(2)
中学3年生の娘が量販店でカラコンをファッション用に買い、寝るとき以外は1ヵ月ずっと装着していたようだ。両目に痛みを感じ、目が開けられなくなったと言うので、眼科に連れて行ったら、医師に「角膜に傷がついている。失明の可能性もあるので大きな病院を紹介する。」と言われた。
インターネットで人気のカラコン20銘柄についてテストした結果
カラコンのパッケージに表記されている内容と実際のレンズの規格が異なるいい加減なレンズや承認基準を満たしていないレンズ、着色部位から色がはみ出しているレンズ等、粗悪なレンズが多数流通していることが分かりました。
縁から着色部分がはみ出している様子
カラコンの使用実態についてのアンケート調査結果
対象者:10歳代、20歳代のカラコンユーザー1,000名(10歳代:500名、20歳代:500名)
- カラコンの入手、購入先は、インターネット通販が 39.2%と最も多く、特に10 歳代では半数近くを占めていました。
- カラコンを購入する際、43.5%が眼科を受診したことがなく、15.2%がレンズの種類を変更する際に眼科を受診していませんでした。さらに、10 歳代ではこれらの割合が高くなっていました。
- カラコンを購入する際、36.4%が「購入先から眼科を受診しているかの確認も、眼科の受診を勧められることもない」又は「覚えていない」と回答しました。
- 3 カ月に 1 回以上の頻度で定期検査を受診している人は 17.0%と少なく、「全く受けていない」と回答した人が 30.6%もいました。
- 23.7%がカラコンを使用していて、目の調子が悪くなったことがあると回答しましたが、そのうちの約半数はその際に眼科を受診していませんでした。
- 決められた期間内にレンズを交換しなかったり、夜寝るときにレンズをはずさないで寝てしまうことがあるなど、誤った使用方法をしている人が多数いました。
- 使用する度に消毒やこすり洗いをしない、レンズケースを定期的に交換しないなど、誤った方法でケアしている人が多数いました。
カラコンを使用している方へのアドバイス
カラコンには、レンズの品質が原因で透明なコンタクトレンズよりも眼障害を起こしやすいものがあることが分かりました。カラコンを使用する場合には、リスクを十分に理解した上で、必ず眼科を受診し、眼科医の処方に従ったレンズを選択するようにしましょう。
カラコンを使用していて目に異常を感じた場合には、直ちに使用を止め、眼科を受診しましょう。また、目に異常を感じていなくても、必ず定期検査を受けるようにしましょう。
レンズの使用期限を守りましょう。また、繰り返し使用ができるレンズは、レンズケアを毎回正しく行うようにしましょう。
個人輸入のカラコンは、日本において安全性が確認されている訳ではありません。安易に購入しないようにしましょう。
※この資料の原本(国民生活センター発表)は、下記から閲覧出来ます。